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【裁判例解説】住宅リースバック取引判例集(4)コンサルティング業務の性質と報酬の妥当性

(東京地裁 平成28年11月2日判決・平成27年(ワ)第25617号)

【事案の概要】

住宅のリースバックを希望する顧客(所有者)に対し、不動産事業者等が「コンサルティング契約」を締結し、売買および賃貸借のスキーム組成や関係者(債権者等)との調整を行った事案です。取引進行または成立後において、事業者側のコンサルティング業務の遂行状況や、その報酬の性質(宅建業法上の媒介報酬に該当するか否か等)が問われ、提供された役務の実態や義務違反の有無が争点となりました。

【判旨】(箇条書き)

不動産取引に関連して「コンサルティング契約」が締結された場合、その業務が宅建業法の適用を受ける「媒介(仲介)」に該当するか否かは、契約の名称ではなく、提供された役務の客観的な実態によって判断される。

物件の査定、一般的な条件交渉、契約書類の作成など、通常の不動産取引に付随する業務の範囲にとどまるのであれば、名目が「コンサルティング」であっても実質は媒介業務とみなされる。

リースバック特有の複雑な権利調整(多数の債権者との折衝等)や、顧客の個別事情に応じた高度な財務改善・スキーム提案など、通常の媒介業務を明確に超える独立した専門的役務が提供されていたかどうかが評価の分水嶺となる。

裁判所は、本件における事業者の具体的な活動実態を精査し、その業務がコンサルティングとしての実質を備えていたか(または善管注意義務を尽くしていたか)を個別具体的に認定した。

【コメントおよび適正取引主任者へのアドバイス】

リースバック取引は通常の売買と異なり、債務整理や資金繰り改善といったコンサルティング的な要素を強く含みます。そのため、事業者が「コンサル料」や「スキーム組成料」名目で別途報酬を受領しようとしたり、逆に業務品質を巡って「十分なコンサルティングを受けていない」と顧客からクレームを受けたりするトラブルが頻発します。本件は、その「業務の実態」が厳しく問われることを示す好例です。

《適正取引主任者へのアドバイス》

適正取引主任者(コンプライアンス責任者)の皆様は、自社がリースバックのコンサルティングを行う際、以下の点に留意した指導・監督を行ってください。

業務範囲の明確化:通常の媒介業務(売買・賃貸の契約実務)と、独立したコンサルティング業務(財務分析、債権者調整など)を契約書上で明確に切り分け、顧客から十分な理解を得ること。

役務提供の証拠化:報酬の妥当性や業務の履行状況が争われた際に備え、顧客への提案書、債権者との交渉記録、財務シミュレーションなどの「成果物」を必ず書面やデータで残す社内ルールを徹底してください。名目だけのコンサルティング契約は、重大な法的リスクを招くため厳禁です。

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