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<原状回復問題>クリーニング費用について 代理人(弁護士)からの回答及び反論について

第2 クリーニング費用について

1 契約上の具体的な根拠条項

 当職から令和 〇年 〇 月 〇日付でお伝えしたとおり、根拠は重要事項説明書の「10 敷金等の清算に関する事項」に加えて、同説明書「賃貸条件並びに設備、管理の委託先、契約の解除に関する事項」の「償却」の欄に「退室時、エアコン、ルームクリーニング費用」との記載及び「賃貸住宅紛争防止条例に基づく説明書」の「賃借人の負担内容について」にて「退室時、ルームクリーニング費用及びエアコンクリーニング費用を敷金より差し引きます。」との記載があり、これらが根拠条項となります。特に「賃貸住宅紛争防止条例に基づく説明書」では、一般原則の特約として上記各費用を負担することが明記されています。

反論文

1. 国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』における原則

賃貸借契約において、建物の「通常の使用による損耗(通常損耗)」や「経年劣化」の修繕費用は、すでに毎月の「賃料」に含まれており、賃貸人(貸主)が負担すべきものと大原則が定められています。

ハウスクリーニング費用について

ガイドラインでは、専門業者による全体のハウスクリーニングは「次の入居者を確保するための物件の維持管理」にあたるため、「貸主負担」と明記されています。借主が退去時に通常の清掃(ゴミの撤去、掃き掃除、拭き掃除など)を行っていればよく、借主に負担義務が生じるのは、日常の清掃を怠り、通常の清掃では除去できないほどの著しい汚損(善管注意義務違反)を発生させた場合に限られます。

エアコン内部洗浄費用について

これも同様に別表にて「貸主負担」と区分されています。借主が日常のフィルター清掃等を怠った結果、異常な汚損が発生した場合や、喫煙による重度なヤニ・臭い等の付着がない限り、借主に請求することはできません。(P25)

したがって、通常の生活を送り、一般的な退去時清掃を行った借主に対し、これらの費用を一律に請求することはガイドラインの趣旨に反します。

2. 判例に基づく「特約」の有効性への疑義

貸主側はしばしば「契約書の特約に記載がある」ことを根拠に請求を行います。しかし、通常損耗や維持管理にかかる費用を借主に負担させる「クリーニング特約」が有効と認められるためには、最高裁判例(平成17年12月16日判決など)により、以下の3つの厳格な要件を満たす必要があるとされています。

・特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的な理由が存在すること。

・借主が、特約によって「通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務」を負うことについて明確に認識していること。

・借主が、その旨を特約の内容とする旨を明確に合意していること。

【実務上、特約が無効(根拠が薄い)と判断される理由】

・金額や算定基準の不明確さ: 契約書に「退去時のクリーニング費用は借主負担とする」とあるだけで、契約段階で「具体的な金額」や「平米あたりの単価」が明記されていない場合、借主は自分がいくら負担するのか予測できず、「明確な合意(上記要件の3)」があったとはみなされません。

・消費者契約法第10条の適用: 借主に対する事前の十分な説明(重要事項説明等での詳細な念押し)がなく、一方的に不当な不利益を強いる特約は、信義則に反し消費者契約法第10条により無効と判断されるケースが多数存在します。

3. 相手方への反論・交渉のポイント

善管注意義務違反の否定: 「在室中は通常の清掃(エアコンのフィルター清掃含む)を行っており、退去時にも一般的な清掃を完了している。請求されている内容は通常損耗および貸主の維持管理の範囲である」と明言する。

ガイドラインの提示: 「国土交通省のガイドラインに則り、専門業者によるハウスクリーニングおよびエアコン内部洗浄は原則として貸主負担である」と客観的基準を突きつける。

特約の無効性の主張: 「仮に契約書にクリーニング特約があったとしても、金額の明示や契約時の十分な説明に欠けており、最高裁判例が示す特約の有効要件を満たしていない(または消費者契約法に抵触する)」と指摘し、法的根拠の提示を求める。

NPO法人日本住宅性能検査協会 敷金問題研究会

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