日本人の人口が1億2000万人を割り込んだ。
総務省が2026年7月に公表した住民基本台帳調査によれば、2026年1月時点の日本人人口は1億1973万人。前年から91万人減り、17年連続の減少で、減少幅は過去最大である。
これに先立つ2025年国勢調査の速報では、総人口は1億2304万人で5年前から2.5%減。増えたのは東京都と沖縄県だけで、残る45道府県が減った。東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)は全国の30.1%を占め、初めて3割を超えている。
■ 3割超えは「集中」ではなく「地方の縮小」
ただ、これは集中が進んだ結果ではない。東京圏で増えたのは東京都だけ。神奈川・埼玉・千葉はそろって減少に転じ、埼玉・千葉の減少は1920年の調査開始以来はじめて、神奈川は戦後初である。シェアが3割を超えたのは、地方の縮み方が東京圏を上回り、分母が減っただけだ。市町村別でも人口が増えたのは全体の9.4%にとどまり、同じ県内でも伸びる街と沈む街が分かれる二極化が進む。
■ 人口は減っても世帯は増える――猶予はあと5年
住宅を考えるうえで重要なのは人口ではなく世帯数だ。
数字を見ると世帯数は5712万世帯と5年で129万世帯増えている。単身の高齢者が増えれば、人口が減っても住宅は必要とされる。だが国立社会保障・人口問題研究所の推計では、世帯総数は2030年にピークを迎え減少に転じる。現状では総住宅数は増え続けているものの、空き家は900万戸、空き家率13.8%といずれも過去最高だが、あと5年世帯数が減少に転じれば、空き家が一気に増えることが予想される。
■ 「家賃保証」が崩れる――地方の賃貸オーナーを襲うサブリースの落とし穴
これによって最初に影響を受けるのは地方の賃貸オーナーだろう。なかでもサブリース(一括借り上げ)契約のトラブルが増えると見られる。
サブリースは建物の賃貸借契約である以上、借地借家法32条の賃料減額請求の対象になる。最高裁は2004年、賃料自動増額特約付きの契約にも同条が適用されると判示した。「減額を求めない」との特約も、強行法規の前では効力を持たない。保証されているのは家賃額ではなく、家賃を払うという枠組みにすぎない。相場が下がれば業者は正面から減額を請求できるため、ローンで物件を建てたオーナーのローン返済が厳しい状況に追い込まれる例が出てくるだろう。
■ 「限界マンション」は郊外から始まる
また、分譲マンションでは「限界マンション」が郊外から増えてくる可能性が高い。
国交省の調査では、修繕積立金が計画に不足するマンションが36.6%にのぼる。居住者が高齢化すれば修繕積立金の値上げ合意は取りにくく、資材費・人件費の上昇で必要な工事費だけが先に膨らむ。しかも、建て替えともなればさらに難しいだろう。老朽化と高齢化は、地価が支える都心より、価格が下がる郊外で先に起きる。
■ いま所有者がやるべき3つのこと
いま所有者がやるべきことは次の3つだ。
①自分の物件を「県」ではなく「街」でどちらに振れたか確かめる
②サブリースなら契約書の賃料改定条項を読み直し、相場を示す資料を手元に持つ
③分譲マンションでは、修繕積立金の残高と長期修繕計画を照合する
問われているのは、この流れを止められるかどうかではなく、縮んでいく街の家をどう軟着陸させるかだ。次に何を建てるかより、いま建っているものをどう畳むか——その技術と制度こそが、これからの日本の宿題である。
「Gold beans.」より
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