判例

裁判事例 中古住宅内の蝙蝠(コウモリ)の棲息

事件番号(出典)神戸地裁判決 平成11年7月30日(判例時報 1715号 64頁)

判旨(要旨)

  • コウモリが多数棲息する中古住宅は、建物の価格に見合った快適さを備えておらず「隠れた瑕疵」に該当すると認定された。
  • 売主に対し、瑕疵担保責任に基づく補修および駆除費用等の損害賠償の支払いが命じられた。
  • 媒介(仲介)業者については、特段の事情がない限り天井裏まで調査する義務はないとして責任が否定された。

内容(事案の概要と判決)

  • 背景:買主が約3,380万円の中古住宅を購入。契約前の「ムカデやゴキブリ等はいないか」という質問に対し、売主は「見たこともない」と回答していた。
  • 発覚:引渡し後に入居すると、建物内に数十匹のコウモリが棲息しており、天井裏等に大量の糞尿、シミ、カビ、異臭が発生していることが判明した。
  • 売主の不作為:売主は引渡し前に異変に気づき簡易的な対策を試みたものの、根本的な駆除や修繕を行わずに引き渡していた。
  • 売主への判決:3,000万円を超える住居用建物には相応の清潔さや快適さが期待されるため、一般人が嫌忌する生物の大量棲息は「取引上一般に要求される注意をもってしては容易に発見できない隠れた瑕疵」であると判断し、売主に約128万円の賠償を命じた。
  • 仲介業者への判決:不動産仲介業者の通常の注意義務の範囲に「天井裏の調査」は含まれないとして、買主から仲介業者に対する請求は棄却された。

建物検査士のアドバイス

  • ホームインスペクションの実施:中古住宅購入時は、屋根裏や床下など日常生活で見えない箇所を専門家が確認する「建物状況調査(ホームインスペクション)」の実施が極めて有効です。コウモリやネズミの侵入形跡、断熱材の荒れなどは、点検口からの確認で発見できるケースが多くあります。
  • 内見時の「違和感」を見逃さない:天井クロスにある不自然なシミ、独特の獣臭、建物の外周やベランダに落ちている小さな糞など、少しでも違和感を覚えた場合は必ず仲介業者を通じて事実確認を行いましょう。
  • 告知書の確実な取得:過去の害獣被害や修繕履歴については、「物件状況等報告書(告知書)」に正確に記載してもらいましょう。「いません」という口頭のやり取りだけで終わらせず、書面化して残すことが万が一の際の自己防衛に繋がります。

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