■ はじめに(序文)
マンションの外壁タイル剥落は、単なる建物の劣化問題にとどまりません。高所から落下した破片が通行人や車両に直撃すれば、重大な人身事故・物的損害を引き起こす極めて危険な事態へと発展します。
「施工した会社が直すべき」「売主の責任ではないか」と考えがちですが、法律上、事故が発生した際に第一義的に損害賠償責任を問われるリスクを負うのは、実は建物を維持管理する「管理組合(および区分所有者全員)」です。
本記事では、万が一タイル剥落事故が起きた場合、管理組合がどのような法的責任に直面するのか、その基本構造を整理して解説します。
■ 管理組合が負う法的責任のポイント
・民法第717条「土地工作物責任」の適用
マンションの外壁は法律上「土地の工作物」に該当します。
タイルの浮きや剥離を放置した状態は「工作物の設置または保存に瑕疵(欠陥)がある」とみなされ、被害者に対して損害賠償責任が発生します。
・「占有者」および「所有者」としての重い責任
工作物責任では、まず共用部分を管理する「占有者(管理組合等)」が責任を問われます。
占有者が「損害発生の防止に必要な注意を払っていた」と証明できれば免責されますが、その場合、次に建物の「所有者(区分所有者全員)」が責任を負います。
所有者責任は「無過失責任」であり、「知らなかった」「管理会社に任せていた」という理由では一切免責されません。
・賠償責任は区分所有者全員の自己負担に
万が一、通行人に直撃して死亡・重傷事故となった場合、数千万円から1億円超の巨額な賠償責任が生じるケースがあります。
被害者に対する賠償義務は、各区分所有者が専有部分の持ち分割合等に応じて負担することになり、個々の住民の生活にも深刻な影響を及ぼします。
・刑事責任や理事長個人の責任に発展するリスク
危険性を認識しながら長期間放置していたなど、過失が悪質な場合には、業務上過失致死傷罪などの刑事責任が問われる可能性もゼロではありません。
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