研究・分析・提言

定期借家制度の施行年および、戦前(戦時中)の借家ルールに関する背景について

1. 定期借家法の施行年

定期借家制度は、平成12年(2000年)3月1日に施行されました。

(※正確には「定期借家法」という単独の法律ができたわけではなく、「借地借家法の一部を改正する法律」によって同法の中に定期建物賃貸借の制度が創設されました。)

2. 戦前(戦時中)の兵士の住居確保に関わる法律

帰還兵や出征する兵士の家族の住居を確保するために作られたルールの正体は、昭和16年(1941年)に行われた「借地法および借家法の一部改正」です。

この改正によって、貸主(大家)側からの契約解除や更新拒絶には「正当事由(正当な理由)」が必要であるという、極めて強力な借主保護のルールが導入されました。

当時の最大の目的は、戦地へ赴く「出征兵士の留守家族」が家主から一方的に立ち退きを迫られて路頭に迷うことを防ぎ、兵士が安心して出征・帰還できるようにすることでした。

3. それは時限立法だったのか?

時限立法ではありません。

戦時体制下の緊急的な社会要請(軍人保護)を背景に生まれたルールでしたが、あらかじめ期限を定めた特措法などではなく、法律の「本則」そのものの改正でした。

そのため、終戦後もこのルールは廃止されることなく効力を持ち続けました。平成4年(1992年)に現在の「借地借家法」へ移行した際にもこの「正当事由」制度はそのまま引き継がれ、現代に至るまで日本の不動産賃貸における「借主保護の強さ」の根幹となっています。

平成12年に施行された「定期借家制度」は、この昭和16年から続く強固な正当事由制度によって「一度貸したら半永久的に返ってこない」という貸主側のリスクを解消し、良質な賃貸住宅の供給を促すために導入されたものです。

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