ペロブスカイト太陽電池

ペロブスカイト太陽電池の基礎理解

■技術の概要

ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト型結晶構造(ABX3)をもつハロゲン化鉛などの材料を発電層に用いる薄膜型太陽電池です。溶液塗布や印刷で低温プロセスが可能なため、製造装置やエネルギーコストを抑えやすく、軽量・柔軟なフィルム化にも向きます。可視光の吸収が強く、組成や層設計でバンドギャップ調整ができ、高効率化が進展。課題は耐湿・耐熱などの長期安定性、鉛の管理・リサイクル、量産時の品質ばらつき低減です。シリコンとのタンデム化や建材一体(BIPV)で普及が期待されます。

■できること

□軽い・薄い発電:ガラス基板だけでなく、フィルム状にして軽量化しやすい
□曲面・狭小部でも設置:壁面、屋根の立ち上がり、曲面、設備まわりなどに対応しやすい
□低照度でも発電しやすい:曇天・屋内照明など相対的に弱い光でも性能を出しやすい方向性
□色や透過のデザイン:半透明・着色など、意匠性を持たせた建材一体(BIPV)に向く
□タンデムで高効率化:シリコン等と重ねる“タンデム”で理論的に高効率が狙える
□製造の自由度:塗布・印刷系プロセスで大面積化やロール・ツー・ロール量産が狙える
□新しい設置先:重量制約のある屋根、仮設、モビリティ、IoT電源などで選択肢が広がる

■開発の歴史

ペロブスカイト太陽電池は、2009年に宮坂力氏らが色素増感太陽電池の電解質を置き換える形で報告し注目されました。2012年に固体正孔輸送層を用いた構造が確立し高効率化が加速。2013〜15年に結晶品質・界面制御が進み20%前後へ。2016年以降は混合カチオン/ハロゲン化で安定性と再現性を改善し、欠陥パッシベーションも進展。2020年代はシリコンとのタンデムで30%超が見え、軽量フィルムや建材一体の実証、封止・鉛管理・規格整備を並行して商用化が進んでいます。同時に印刷・塗布プロセスの大面積化、劣化要因(水分・熱・光)解析、鉛フリー(Sn系)研究も深化しました。世界で量産ライン投資が本格化しました。

■現在の状況

ペロブスカイト太陽電池は、研究段階の「高効率」から、実証・量産準備を経て社会実装へというフェーズに入っています。日本ではNEDOのGI基金プロジェクトの下で、大阪・関西万博(Expo 2025)の施設屋根にフィルム型を敷設するなど、軽量・柔軟という特長を生かした“貼れる太陽電池”の実証が進んでいます。
政策面では、経産省の資料で発電コストが一定水準まで下がると導入量が大きく立ち上がるという見立てが示され、国のエネルギー計画でも次世代太陽電池(ペロブスカイト等)の2040年導入目標(約20GW)が掲げられています。 事業側では、積水化学が量産技術の確立と商用化を掲げ、2030年に向けた増産計画を公表しており、外部レポートでも製造ライン投資と稼働時期(2027年前後)が言及されています。

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