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【コラム・論文】税金のお話

浅野 雅史 氏 
税理士
ファイナンシャルプランナー

税金と確定申告

 皆さんは何で税金を納めるのでしょうか?それは日本国憲法にあるとおり国民の義務だからです。しかし税金のことを細かく知って収めている人は少ないと思います。今回からのコラムでは税金についての基本的なことと、実務の中で最新の情勢をふまえて得する情報を提供できればと思っております。

まずは基本的なところからですが、税金の種類ですが皆さんご存知でしょうか?何十種類もあります。皆さんが承知して納めているのもあれば、知らないうちに納めているものもあります。区分をみていきますと、税の納める役所から、国税と地方税にわかれます。国税とは国に納める税金であり税務署が管轄し、地方税とは、都道府県、市町村に収める税金であり都税(県税)事務所、市役所等が管轄しています。そして税金の納め方から直接税と間接税にわかれます。直接税とは納税者が直接納める税金であり、間接税とは、納税者=納税義務者ではなく、別な納税義務者をとおして納める税金です。

 また税金の金額の計算の方式として申告課税方式と賦課課税方式とにわかれます。申告納税方式とは納税者が税法に従って自分で納税額を計算して申告する方式であり、賦課課税方式とは役所等が納税額を決定し納税者に賦課決定するものです。法人税や所得税や相続税や贈与税は、国税・直接税・申告課税方式になります、消費税は、国税・間接税・申告課税方式になります。また個人の住民税や固定資産税は、地方税・直接税・賦課課税方式になります。申告課税方式において個人や法人の所得(利益) を一定の期間を区切って計算することを確定申告といいます。確定申告は個人ですと1月1日から12月31日までの所得を所得税は3月15日(消費税は3月31日)までに、法人ですと1年間の所得を決算後2ヶ月以内に自分で計算して申告します。

 ここでポイントとなるのが、会計の知識はもちろんのこと税法の知識です。このころを知っているのと知らないとは大違いです。次回からはこの知識の部分について述べていきます。

節税とは

 本題の前に、この時期に新聞をみますと一面を税金の改正の話が飾ることが珍しくありません。特に今回は、民主党に政権が交代して自民党政権時代におこなっていたプロセスとは違うため、マニュフェスト等もからみ特に注目されています。このことについては別の機会に述べていきます。

 さて前回は、税金の種類と申告について説明しましたがもう少し具体的に税金は何について課税されるのでしょうか。おおまかに言いますと所得(≒利益)とそれ以外です。所得と利益の概念は税金上の調整は少しはいりますがほぼ同じと考えていいです。つまり所得が多ければ多いほど納めるべき税金は多くなります。そこで税金を減らそうと考える人は、所得を減らそうと考えます。売上を計上しなかったり、経費を水増ししたりと。これは脱税です。しかし自分で計算して申告する申告納税制度の場合処理としてできますが、後日税務調査のときに簡単にみつかります。脱税しますと、最悪悪質な場合で5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が課されます。それでなくても増えた本税の35%が課税(重加算税)されます。節税とはいわゆるグレーゾーンの処理もふくめ認められた処理の中で最善の方法を選択することです。

 税金の計算の基となる所得は、収益から費用を控除します。控除の後の金額を利益といいます。この段階では収益の計上時期と経費の計上時期、経費が認められるかどうかが問題となってきます。利益に、税金特有の調整、交際費の加算(交際費は一定の場合10%認められない)等を加えたものの金額が所得です。この段階では規定処理を知っているかが問題となってきます。次回からより具体的にみていきます。

12月に検討する節税策

 季節は12月です。今年もあと1ヶ月で終わりです。年末調整や確定申告の準備はおすみでしょうか。年末調整は今まで1年間源泉徴収された税金に関して正確な税金を計算し、過不足を調整するものです。必要書類を事業主にだせば、自動的に税金の金額が決まってきます。

 確定申告は、自営業者や給与所得者(サラリーマン)で副収入のある人はする必要があります。また確定申告は自分で計算します。そのため準備をすることによって税金の額が違ってきます。確定申告の準備は、まず今年1月1日から今までの収支を、ざっくりと計算してみます。もし利益がでていたら、節税という観点からもっとも簡単なことは、来年必要なものを12月31日までに前倒しで購入することです。それ以外で節税として、小規模企業共済と中小企業倒産防止共済があります。小規模企業共済は、国が作った経営者の退職金制度で、加入できるのは、業種によって違いますが20人以下の製造業や5人以下の商業・サービス業を営む個人事業主や法人の役員です。支払った掛け金はすべて、損金(経費)となります。さらに1年分を前払で12月に支払うことで、1年分を損金にできます。中小企業倒産防止共済は、得意先が倒産して売掛金が回収できない状況のときに、無利息で貸してくれる制度です。これも支払った掛金は、損金(経費)となります。さらに中小企業倒産防止共済は、地域によっては助成金がうけられます。東京都でも12月までに6ヵ月分を支払っていれば、上限36万円の助成金がうけられる可能性があります。40ヶ月以上かけていれば、解約したとしても100%もどってきます。先行き不透明な経済情勢のなかでは、加入していたほうがいいともいえます。小規模企業共済や中小企業倒産防止共済に未加入の事業主は、検討してみてはいかがでしょうか。

平成22年度税制改正大綱

 いつ発表されるか心待ちにしていた平成22年度の税制改正大綱が12月22日に税務税調から公表され即日閣議決定されました。内容は、財務省のHPや民主党のHPからご覧になれます。

 大きな改正点を税目別に見ていきますと、個人の所得税で大きく影響をうけるのが、マニュフェストの目玉政策である「子ども手当」創出にともない年少扶養親族(~15歳)に対する扶養控除(38万円)が廃止されること、また高校の実質無償化にともない扶養控除の上乗せ分(25万円)が廃止されることです。19歳~22歳の扶養親族については、現行の通りです(38万円+25万円)。なお、マニュフェストにあった子ども手当の財源の一つとして配偶者控除の見直しがありましたが見送られました。

 法人税については、「一人オーナー会社課税制度」(特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度)が廃止されます。これは当時の政府税調によると、平成18年の会社法改正にともない資本金の制限が撤廃され法人が設立しやすくなったため、個人が法人を設立し税負担を回避するのを防止するために設けられた措置とありました。内容は、法人税の計算において個人の給与の給与所得控除分を法人の所得としてみなして計算する制度です。この課税制度は、創設された当初から法人と個人とニ重に課税される等様々な問題がありました。平成22年4月1日以降開始する事業年度から廃止になります。もう一つ注目されていた税率の軽減(現行18%→12%)については見送られました。

 消費税について税率は現行(5%)のままですが、社会保障の抜本改革の検討などと併せて検討するとあります。消費税については、逆進性(所得の低い人間ほど負担感が大きい。税制の考え方は応能負担)が指摘されています。

 税制は直接我々の生活に影響することですから皆様もホームパージをご覧になってみてください。

贈与税

 個人の確定申告の季節になりました。確定申告とは所得税だけだと思われがちですが贈与税もあります。今回はこの贈与税について記載します。

 最近鳩山首相の事件のおかげで有名になりましたが、そもそも贈与税とは相続税法という法律の一部であり、相続税と密接に絡んでいます。相続税は、亡くなったときに被相続人(死亡した者)から相続人が財産を引き継いだときに、その財産の金額に応じて課税される税金です。ならば生前に財産を渡せば相続税は課税されないのではと考えますが、そのときには確かに相続税は課税させませんが、この課税行為を回避することを防止するために贈与税はあります。

 贈与税の特徴として、税率が非常に高いです。財産の金額で1,000万円(基礎控除後)をこえると、おおよそ50%の税金が課税されます。このため贈与に関しては慎重におこなう必要があるのです。

もう一つの特徴として、1年間で110万円までは課税されません。この金額を基礎控除といいます。つまりこの範囲内でしたら、課税はされず申告もする必要はありません。

 しかしこの金額ですと、税金の一つの側面である経済政策として全く効果がないため特例があります。特例のひとつに、「配偶者の配偶者控除の特例」があります。この特例は、配偶者から居住用不動産や居住用不動産を取得するための資金ならば、基礎控除とあわせて2,110万円(基礎控除分110万円)まで非課税になるという特例です。またひとつが相続時精算課税です。この規定は、2,500万円までの贈与ならば贈与時には贈与税はかかりません。

 しかし、相続時に他の相続財産とともに相続税の計算の対象となる財産に含まれます。もうひとつあげるなら、昨年より住宅直系尊属(父母・祖父母)から住宅取得のための資金の贈与をうけた場合、500万まで非課税となる規定があります。この規定は平成22年度においては1,500万円になっております。上記の規定の適用を受ける場合には期限内(2月1日から3月15日)に申告する必要があるのでご注意ください。

期限内申告と期限後申告

 季節が過ぎるのは早いもので、3月は個人の確定申告の提出期限です。所得税及び贈与税の提出期限は3月15日で、消費税に関しては3月31日です。今、慌しくご自身の申告書を作成されている方もいるのではないでしょうか。

 この申告期限までに提出することを期限内申告といいます。そしてこの期限を過ぎて申告することを期限後申告といいます。注意したいのは、例え青色の事業者であっても期限内申告をしないと適用されない規定があることです。

 例えば、純損失の繰越控除です。この規定は、損益通算してもなお控除しきれない損失を翌年以後3年間にわたり控除することができることです。

青色申告控除の65万円についても期限内申告でなければ受けられません。

 贈与税についても、前に述べさせていただきました相続時精算課税に関する規定や、贈与税の配偶者控除などがそうです。

 もし納税者有利な規定をご存知でしたら期限内に申告する必要があるかもしれないので、税務署等でご確認をとられたほうが良いと思います。このように述べたのは、仮に時間の制約や資料等の不足で正確なものができなかったとしても、その部分に関しては、概算の金額で、または省いてでも、期限内までに申告をすれば期限内申告になります。もし提出後に正確な計算をした結果、税金の金額が増えれば修正申告をして、税金の金額が減った場合は更正の請求という手続きで、再度修正をすれば良いと思います。

法人の生産における課税

 今回は、法人の清算における課税について述べていきます。

 法人が清算する場合どのような流れでいくかというと、清算の前に解散の手続きをします。そして解散の日以後は営業活動等は行わずに、法人の中に残っている財産を確定して、その財産を株主に分配した後、最後に清算の手続きをします。

 本来ですと、税務上は事業年度の末日から2ヶ月以内に確定申告をすることになりますが、解散の場合も同じで、任意に定めた解散の日から2ヶ月以内に確定申告をします。確定申告の計算方法は、本来の確定申告の計算方法と同じで、収益(益金)から費用(損金)を控除した利益(所得)に対して税率を乗じて、納めるべき税金が決定されます

 その後清算手続きにはいると、今度は財産課税によって計算されます。財産課税とは具体的には、

残余財産-(解散時資本金等の金額+解散時利益積立金額)

となります。つまり残余財産の時価から解散時の簿価純資産額を控除して、その結果法人に財産があれば残余財産の金額に対して、税率を乗じて納めるべき金額が確定します。

 今回の税制改正で、この清算所得の計算が財産課税から、本来の計算のように所得課税になります。この改正は、かなり影響があると思います。

 例をあげますと、一般的に清算する法人は赤字が続き、代表者個人が法人に貸付けていることがあります。最後に財産を確定するためには、法人からみたこの借入金を免除しなければいけないのですが、今までの財産課税ですと借入金の免除は税金に影響はありませんでしたが、所得課税ですと免除益が計上されることになり課税されます。ただし、これだと不公平なので課税の公平の観点から、7年を経過して使用できなくなった欠損金も使用できるようにしてバランスを図るみたいです。しかし所得と利益のズレもありどの程度影響をうけるかは、実際に計算してみなければ分かりません。

 この改正は平成22年10月以降に解散した法人から適用されます。注意が必要です。今回は、法人税法の同族会社とその規制について述べていきます。

法人税の同族会社とその規制

法人税法上の同族会社とは、株主等と同族関係者を1つのグループとし、上位3つのグループが所有する株式又は出資の金額が、その会社の発行済み株式の総数又は出資金額の50%を超えている法人をいいます。同族関係者とは、主に株主等の親族、株主等と婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係にある者、株主等個人の使用人その他株主等の実質意思決定に逆らうことのできない者も含まれます。そしてこの同族会社に該当してしまいますと、法人税法では租税回避行為を防止するために3つほど規制が設けられております。

1つめは、留保金課税です。この規定は法人の利益を社外に流失せず、意図的に社内に一定以上の利益を留保した場合に通常の法人税のほかに、留保利益に対して10%~20%の税金が課税されます。なお平成18年度の改正より留保金課税の対象となる法人は上位1グループで50%をしめる「特定同族会社」に狭められました。また資本金が1億円未満の会社については適用除外となっております。

2つめは、役員の認定と使用人兼務役員の制限です。法人税法上、役員に関しては給与等で細かい規制があります。簡単に言いますと、一度決めた報酬金額は一年間変更することはできないことです。つまり、役員以外でしたら変更しても法人税は余分に課税されませんが、意図的にそのようにしてしまいますと法人税が少なくなり租税回避行為がおこなわれるため、役員以外でも役員とみなして租税回避を防止するため税法上のみなし役員という規定があります。役員の認定とは、会社法等の役員でなくても税法上役員とみなされる場合があることです。判定に関しては細かくあるのですが、簡単にいうと、本人が所属している株主グループが10%超所有し、かつ本人が5%超を保有して、なおかつ経営に従事している場合、役職が営業課長でも税務上はみなし役員になります。また上記の条件ですと使用人兼務役員にもなれません。

3つめは、同族会社の行為または計算の否認で、この規定は税金を減額するためにどのような行為をしたとしても租税回避行為をしたとして、職権で本来の所得、税額にすることであり伝家の宝刀と言われています。

欠損金

 今回は欠損金について述べていきます。

 そもそも欠損金とは所得がマイナスになる場合に発生します。つまり益金(収益)から損金(費用)を控除した結果マイナスになる場合です。

 本来税金の計算は、暦年の所得に対して課税されますが、資本の維持や担税力を考慮しその例外として「欠損金の繰越控除」や「欠損金の繰り戻し還付」の規定があります。欠損金の繰越控除には、二種類あって1つめは青色欠損金の繰越控除で、もう一つは青色申告法人でなくても適用がある災害損失欠損金です。

 青色欠損金の繰越控除は、青色申告書を提出した事業年度において発生した欠損金を翌年以後7年間使用できる規定です。具体的な計算を述べると、今期200万のマイナスで仮に来年800万プラスですと、今期に対する税金は住民税の均等割りを除くとゼロです。来年に関しては800万から200万をひいた600万にたいして税率を乗じた金額が納めるべき税金の金額になります。この規定は欠損金が発生した事業年度だけ青色申告法人であれば良く、その翌年以後何らかの事情で青色ではなく白色申告法人になった場合でも、この欠損金を使用することができます。

 災害損失の欠損金については、自然災害等により発生した結果の一定の資産の損失について認める規定です。欠損金の繰り戻し還付は、規定はありながら長らく停止しておりましたが平成21年の税制改正により中小企業者等に該当すれば適用できることになりました。この規定は、前年に法人税を納めていた場合、今年において欠損金が発生したら前年に納めた法人税の一部を還付請求することにより還付がうけられる規定です。

  具体的な計算を述べると前年に所得が200万で80万の税金を納めた場合、今年50万の欠損金が発生したとしたら

 80万×(50万÷200万)=20万

この20万が還付される金額になります。

法人税のほか個人の所得税についても条件等は違いますが上記の規定はあります。

消費税について

 先日の参議院選挙でも消費税の税率を上げるかどうかで話題になりました。その消費税ですがどのような仕組みになっているかというと、消費者は事業者から物品の購入やサービスの役務の提供をうけるときに5%の消費税を支払います。納税義務のある事業者は、その消費税を消費者の代わりに税務署に支払います。

ここで納税義務のある事業者とは、

1. 国内において課税資産の譲渡等(役務の提供を含む)をおこなった事業者で、

2. 2年前の事業年度の売上が1000万円を超えている事業者です。

新規設立した法人等で2年前の事業年度はない場合は、資本金が1000万円以上ならば納税義務者となり消費税を納める義務が発生します。よって新規設立する場合は税負担の軽減の目的から資本金を1000万未満にする場合が多いです。

 消費税の計算ですが、2種類あります。

 ひとつは原則課税といって、受け取った消費税から支払った消費税を控除して、その差額を納める方法です。例として卸売業で売上が消費税込みで1050万円、仕入れが消費税込みで840万円の場合、消費税分は売上が50万円、仕入れが40万なのでその差額の10万円を納付することになります。

 もう一つは簡易課税といって受け取った消費税から、売上の種類に応じた「みなし仕入率」を乗じて、乗じた金額を控除する方法です。この計算方法で先ほどの例の金額で計算すると、消費税分の売が50万円ですが、仕入れの消費税分は50万円×90%(卸売業のみなし仕入率)で45万となり、消費税として差額の5万円を納めることになります。

 このように計算方法によって有利不利がでてきます。2種類の計算方法は、任意で選択することができますが、適用を受けようとする事業年度の開始前に税務署に届出を詠出しなければならず、選択した計算方法は2年連続で行わなければいけません。

また簡易課税に関しては2年前の事業年度の売上が以下である必要があります。

消費税を納めている事業者は、慎重にシミュレーションして見直してみてはいかがでしょうか。

減価償却

 今回は減価償却について記載していきます。

 そもそも減価償却とは、企業会計において費用収益対応の原則により各期間に費用配分していくものです。つまり固定資産を取得したら一時の費用とするのではなく、合理的な計算方法で計算した金額を各期間に計上していきます。税務上もこの減価償却については認められております。税務上については、この「普通」の減価償却のほかに、「特別償却」が認められる場合があります。「特別償却」とは、一定の要件を満たした場合には、普通の減価償却のほかに基準取得価額の30%を乗じた金額も減価償却として損金に認められることになります。つまりその分だけ損金が増えることになり税金が安くなります。

 一例をあげますと、中小企業等投資促進税制があります。この制度は、青色申告法人で資本金が1億円未満の中小企業者等が平成24年3月31日までに、機械装置で1台あたり160万円以上ものを取得した場合又は電子計算機で1台あたり120万円以上のものを取得した場合又はソフトウェアで70万円以上のものを取得した場合には、明細書を添付することを条件に、普通償却のほか特別償却も認められます。

 特別償却とセットで考えなければいけないのは、特別控除です。こちらはさらに要件が厳しく、資本金が3000万円以下でなければいけません。該当した場合には基準取得価額の7%を税金から直接控除できます。なお、特別償却と特別控除はどちらか一つしか適用できません。

 この特別償却又は特別控除を適用できる規定は上記のほかにも多少あり、国税庁のHP等で確認することができます。決算前に見直してみれば意外に適用できるかもしれません。

税制改正の気になる影響

 12月になりました。来年度の税制改正の議論がされております。そのせいか最近の日本経済新聞も税制改正のことが1面に記載されることが多くなりました。来年度の税制改正では、政府は企業の国際競争力を強化するために、諸外国に比べて高いといわれる現行の実効税率である約40%を5%ほどさげることが柱になっております。5%さげるには1兆5千億円の財源が必要でありその財源として、様々な増税が検討されております。

 その中で気になるのは、欠損金の控除の縮小です。欠損金の控除とは企業が損失をだした場合、その損失分を翌年以後7年間にわたり利益と相殺できる制度です。今回この制度が、利益がでた事業年度においては、利益に対して経済産業省の案で8割、政府税調にいたっては5割しか使用できないことを検討しているそうです。つまり前年取り崩した内部留保をとりもどすことができず、内部留保は薄くなり特に財務体力のない中小企業においてはこの厳しい経済環境にたえられず倒産する法人がでてくると思います。その他証券税制の優遇措置の廃止や相続税の基礎控除の削減など増税色が強いです。

 またこども手当の財源を捻出するために、配偶者控除の廃止まで検討されております。日本の財政が厳しいことはわかりますが、もう一度税金の支出の無駄の削減や支出の見直しをして国民の理解が得られた上で、経済活性化を目指した税制を考えてもらいたいです。

 話しが変わりますが12月は個人の決算月です。昨年も書きましたが、個人事業者の方は小規模企業共済や国民年金基金や確定拠出年金などの入り漏れはないでしょうか。また経費の見直しはしましたか。とにかく今月中にできることを行い、賢く節税しましょう。

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