佐藤 和基 氏
相続財産再鑑定士・税理士
相続税還付の概要
毎年日本ではどのくらいの方が亡くなっているかご存知ですか?また、その中でどのくらいの方に相続税が発生するかご存知ですか?
毎年日本では120万人前後の方が亡くなっています。そして、その中で相続税が発生する方は約5万件で全体の4.1%となっています。毎年5万件もの相続税の申告がされているわけですが、実は納め過ぎているケースが多々あることはあまり知られていません。
「うちはプロの税理士にお願いしているから大丈夫ですよ!」
よく聞くセリフですが、税理士にお願いしない方はほとんどいませんし、実は相続税に慣れている税理士はごくわずかです。それこそ、相続税の発生件数の4.1%よりはるかに少ないでしょう。相続税に不慣れな税理士が多い理由としては、年間の相続税の発生件数よりも税理士の数の方が多く、今では約74,000人の税理士がいます。また、相続税の計算では計算の仕組みを理解していることは当然必要ですが、さらに財産の評価にも精通している必要があります。特に不動産の評価では10人が評価すれば10通りあるとも言われています。
相続税で損をしないためには、顧問税理士や昔からの付き合いのある税理士という基準で選ぶのではなく、相続税を専門にしている税理士にお願いすることが大切です。ではもし、相続税に不慣れな税理士にお願いして相続税を納め過ぎている場合にはどうすれば良いのでしょうか?
税金には5年間の時効があります。
そのため、申告期限から5年以内であれば見直しをすることで還付を受けられるケースがあります。
成功報酬で見直しをしてくれるところが多いので、依頼をして損をすることはまずないと思います。
あなたの相続税は大丈夫ですか?
相続税還付は簡単すぎるほど簡単
納め過ぎた相続税を取り戻す「相続税還付」は非常に相続人の方から喜ばれるサービスですが、中には見直しをお願いすることに対して乗り気ではないという方がいらっしゃいます。それはなぜなのでしょうか?
理由としては全て「勘違い」であると言えます。
想定される勘違いには次のようなものがあります。
○面倒くさい
○税務調査が入ったのでもう税額が変わらない
○相続人から反対を受けているので手続きが出来ないと思っている
○最初の申告をお願いした税理士とは今後の付き合いもあるのでばれたくない
全て勘違いです!!
○面倒くさい
…通常の相続手続きは財産の内容を調査して預貯金の残高証明書を入手し、戸籍謄本、印鑑証明書を入手して、相続人全員で分割協議をして…
とても大変な思いをしている方が多いため、「相続=面倒」という印象を持たれているのでしょう。
しかし、相続税還付では還付専門の税理士に「相続税申告書・添付資料一式」を預けるだけですので、実はかんたん過ぎるほどにかんたんなのです。
資料を預けるだけで、あとは還付専門の税理士が勝手に頑張って減額要素を探してくれます。
○税務調査が入ったのでもう税額が変わらない
税務調査は追徴課税を狙ってくるため、納税者が有利になるような減額要素はほとんど指摘してもらえません。また、既に税務調査が終っているということは、これ以上増額になることはないと言えます。
つまり全くリスクがないため、相続税の見直しをする上ではこれ以上還付しやすいことはないというのが実情です。
○相続人から反対を受けているので手続きが出来ないと思っている
これも完全な勘違いで相続税還付は相続人1人で請求することも出来ます。
相続税は各相続人が各々納めていますし、還付請求をする際も各々が請求をする事になります。還付を受ける話ですので出来れば相続人全員で手続きをすることをオススメしますが、もめている場合などには1人で請求することも可能です。
また、「勘違い」で反対している相続人がいる場合には、とりあえず1人で還付請求をしてみて、実際に還付に成功してから教えてあげるのも良いでしょう。
○最初の申告をお願いした税理士とは今後の付き合いもあるのでばれたくない
相続税還付の手続きでは、更正の請求書という書類を税務署に提出します。その際に「税務代理権限証書」という委任状を添付することになります。
そのため、税務署からの通知も当初の税理士ではなく、新たに「税務代理権限証書」を添付した税理士に連絡が来ますので、相続人の方が自分から言わない限り当初の税理士に知られることはありませんのでご安心ください。
以上が一般的な「勘違い」となります。
相続税還付の時効は亡くなった時から5年10ヵ月となっています。
勘違いで、還付の可能性をつぶしてしまうのは非常にもったいないことです。
あなたの相続税は大丈夫ですか?
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